解体工事での廃棄物の取扱い注意点いろいろ!施主もきちんと知っておこう

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解体工事で発生する廃棄物は、どのように処理されるのでしょうか。昔のように「ひとまとめにして運んで、まとめて埋め立てておしまい」とはいかなくなり、手間がかかるようになりました。これも時代の流れですが、もしもそれに逆らって違法行為が起きてしまった場合、責任を取るべきは誰なのでしょうか?

今回は解体工事の廃棄物の処理手順やその責任の所在、マニフェスト制度といったものまで詳しく見ていきましょう。

廃棄物とは

廃棄物とは、一言でいうと「ゴミ」です。自分が使えず、第三者に有償で売却することもできず、自分にも第三者にも価値がないものをいいます。

「事業活動で排出された廃棄物のうち、廃棄物処理法で規定された20種類の廃棄物」を産業廃棄物といい、それ以外のものを一般廃棄物といいます。

この分類でいくと、解体工事現場で発生する廃棄物は、全般が産業廃棄物となります。

廃棄物の処理方法

分別解体

解体工事現場においては、非常にたくさんの廃棄物が発生します。

前述したような廃棄物の定義でいくと、解体工事で出た廃棄物はすべて「産業廃棄物」となります。

一昔前は、現場で出た廃棄物はすべて一緒にまとめて処分場に運搬して埋め立てて終了、ということをしても何も問題がありませんでしたが、建設リサイクル法の施行を経た現在では、そういうわけにはいかなくなりました。「分別解体」といって、種類ごとに分別しながら解体することが求められているのです。

その分手間も費用もかかりますが、環境保護や資源保護の観点から世界的・時代的な流れで、今では当然のように必要なこととなっています。

解体現場で出る主な産業廃棄物は、木くず・コンクリートガラ・アスファルト・廃プラスチック・ガラス・金属くず・繊維くずなどで、こういったものが分別されて大型トラックなどで運搬されていきます。

中間処理場

分別解体された廃棄物が、解体工事現場からまず運ばれるのは、中間処理場です。

ここでは、廃棄物がその状態に合わせて「焼却、破砕・選別、圧縮・成形、中和、脱水」されることにより、「減量・減容化、安定化、無害化、資源化」されます。

リサイクルされて生まれ変わるためにも、中間処理場は大事な役割を果たしています。

最終処分場

その名の通り、廃棄物が「埋立てされる以外無理」という状態になったものが運ばれてくるところです。再利用も再資源化も不可能な廃棄物だけが集まってくるわけです。

最終処分の考え方は、以前は「海洋投棄」と「土壌還元」がありましたが、2007年に海洋投棄が原則禁止になったことにより、最終処分=埋立て処分と考えてほぼ間違いありません。

最終処分場には、処分できる産業廃棄物の種類や、処分場の構造によって、3種類に分類されています。

遮断型最終処分場

産業廃棄物のなかでも、重金属や有害な化学物質などが基準を超えて含まれるような、もっとも有害なものが処分されるところです。そのため、非常に厳重な構造となっています。

特に有害なものを処分することができるのが、遮断型最終処分場です。3種の最終処分場の中でも、環境保全の観点から最も厳重に、周辺環境と遮断される構造となっているのが特徴です。

安定型最終処分場

有害物質を含まず、分解もせず、かつガスや汚濁水が発生せずに周辺環境を汚染しない産業廃棄物が搬入される処分場です。

具体的には、安定5品目とも呼ばれる「廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず、がれき類と、これらに準ずるもの」が処分されます。雨水などにさらされても、ほとんど変質しないものばかりというところが特徴です。

管理型最終処分場

安定型最終処分場で扱われる廃棄物ではないけれども、遮断型最終処分場に持ち込まれるほどには有害なものではない…という廃棄物が持ち込まれる処分場です。

具体的には「燃えがら、汚泥、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、鉱さい、ばいじん」といったものです。

処分場の構造も、安定型と遮断型のちょうど中間ぐらいの機能を持っているという特徴を持ちます。

解体工事においての廃棄物処理責任の所在

解体工事で発生する廃棄物がどのように処理されるのか、ということは前述した通りですが、万が一ここで不法投棄など違法な手段で処理されてしまった場合、その責任は誰が取ることになるのでしょうか?

工事を発注したのは施主であり、解体工事をした「家屋」は施主のものです。すると施主の責任なのでしょうか。それとも、解体工事をした業者?あるいは(解体業者が外注した)廃棄物処理業者?

それを確認するために、まず「排出事業者」という概念を知っておきましょう。

排出事業者とは

「排出事業者」とは、簡単にいうと「ゴミを出した張本人」のことです。では解体工事においての排出事業者は、解体業者なのか、施主なのか。

これについては、平成22年の廃棄物処理法改正により、解体工事における排出事業者は、注文を受けた元請け業者=解体工事業者であるとはっきりしました。

廃棄物処理の責任者は、排出事業者

そして、解体工事における廃棄物の処理責任を負うのは排出事業者です。

つまり、なにか違法なことが行われたときに責任を取るべきは、施主ではなく解体業者である、ということなのです。

加えて、解体業者がもし廃棄物の処理を別業者に外注していたとして、その別業者が違法行為を行ったとしても、責任を負うのは解体業者だということになります。だから解体業者は、廃棄物の処理が適切に行われるような措置を取らなければならないのです。

施主の責任は?

解体工事の廃棄物処理においての責任者は、業者であって施主ではありません。安心なことかもしれませんが、だからといって自分の依頼した解体工事で違法行為があったというと、気持ちの良いことではないはずです。

施主としての責任があるとするならば、きちんと法令を守れる、意識の高い解体業者を見極めて選び、工事を依頼することかもしれませんね。

マニフェスト制度

「マニフェスト制度」も、廃棄物処理を知っておくうえで欠かせないもののひとつです。こちらも責任の所在をはっきりさせるはたらきを持っているといえます。

マニフェスト票は別名「産業廃棄物管理票」ともいい、7枚つづりの書類です。この管理票によって、産業廃棄物の処理が適切に行われたかどうかがわかるというものなのです。排出事業者には、このマニュフェストの作成が義務づけられています。

マニフェスト票の内訳

マニフェスト票の7枚は、それぞれ別の役割を持っています。

・A票…排出事業者の控え

・B1票…処分業者への運搬終了後、収集運搬業者の控えとなる

・B2票…処分業者への運搬終了後、収集運搬業者より中間処理・最終処分業者へ運搬されたことを排出事業者が確認するためのもの

・C1票…処分終了後、中間処理・最終処分業者の控えとなる

・C2票…処分終了後、収集運搬業者が処分終了したことを確認するためのもの。

・D票…処分終了後、排出事業者が処分終了を確認するためのもの

・E票…排出事業者がすべての最終処分が終了したことを確認するためのもの

このうちE票には、廃棄物処理に関わった業者や処分場の押印・日付などが記載されていて、「すべての廃棄物処分が適切に行われた」ことが確認できます。施主としてはE票に問題がないことをしっかりと確認し、廃棄物処分が適切に完了したと判断するようにしましょう。

まとめ

・解体工事で発生した産業廃棄物は、分別されたのち中間処理場を経て、最終処分場へと運搬され、リサイクルされたり埋め立てられたりする。

・解体工事の廃棄物処理においての責任者は、解体工事業者である

・マニフェスト制度は、廃棄物の処理が適切に行われたかを管理するもので、施主もマニュフェストE票を確認するとよい。

解体工事における廃棄物処理には、注意すべきポイントが多くあります。施主としても知るべき部分をしっかり知って、工事に臨みたいですね。

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