解体工事で発生する廃棄物についての注意点まとめ。廃棄物処理の責任は誰にある?

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廃棄物には、大きく分けて「産業廃棄物」と「一般廃棄物」があります。

前者は、特定の事業所などから出る廃棄物のことで、後者は前者以外のすべての廃棄物です。

解体工事で排出される廃棄物は、前者の産業廃棄物に該当します。

解体工事で出る廃棄物には、さまざまな問題がついてまわります。処理の注意点を知っておきましょう。

廃棄物処理においての注意点

解体業者の許可を確認する

前述した廃棄物の取扱いには、それぞれに許可が必要です。

一般廃棄物を取り扱うには「一般廃棄物収集運搬業許可」が、産業廃棄物を取り扱うには「一般廃棄物収集運搬業許可」が必要になるということです。片方を持っているからといって、もう片方も扱えるかというと、それは無理なのです。

そのため、解体工事を依頼する業者はこれらの許可をきちんと保有しているかどうかを、施主として確かめておきましょう。

解体工事で排出されるのは産業廃棄物であるため、もし廃棄物処理まで解体業者が行うのであれば、産業廃棄物収集運搬業許可を持っていなければいけません。ないのであれば、廃棄物処理専門業者に外注する必要があります。

また、解体する建物の中に施主が不用品を残置物として残している場合、解体業者は一般廃棄物収集運搬業許可も持ち合わせていないと、これらの残置物を産業廃棄物として処理することになるため、費用がかなりかさみます。

残置物は施主みずからが一般ゴミとして燃やせるゴミや大型ゴミの処分方法に従う方が、安上がりです。

アスベスト含有が発覚した場合

令和4年4月から、一定規模以上の解体や改修工事においては、事前にアスベストの有無についての調査を行い、その結果の報告が義務付けられました。

アスベストは人体に非常に有害で、取扱いにも細心の注意が必要です。したがって解体工事を行う業者とは別で、アスベスト調査・除去の専門業者に作業を依頼することになります。費用なども解体工事とは別途発生し、他の廃棄物とは一切混ざらないように扱います。

そのため、アスベスト含有廃材の処分については解体業者がかかわることはありません。施主としては、アスベストについてはどう扱われるかということだけきちんと知っておきましょう。

解体工事の廃棄物処理、責任はどこにあるか

解体工事で排出される廃棄物の量は、馬鹿にできないものがあります。山積みになった廃材をただまとめて処分場に運べばいいというものではなく、きちんと分別して適切に処理しなければなりません。

近年ではどんどん少なくなってはいますが、悪徳業者はまだ存在しています。解体工事で出た廃棄物を不法投棄したり適切な処分を怠ったりするような会社がゼロではないのです。

このような不法行為が行われた場合、最終的な責任の所在はどこになるのでしょうか?

解体工事業者が行ったこととはいえ、施主も責任を取らないといけないのでしょうか。

排出事業者とは

「排出事業者」ということばがあります。「ゴミを出した張本人」という意味で、排出事業者が負うべき責任というものも存在します。

しかし、解体工事においての排出事業者とは誰なのか?というのは、判断に難しいところですよね。解体業者なのでしょうか。それとも施主?

解体工事の排出事業者は、解体業者

平成22年の廃棄物処理法改正により、解体工事における排出事業者は、注文を受けた元請け業者=解体工事業者であることが明記されました。

「家という有価物が、解体工事という産業活動を通じて、廃棄物に変わった」という見方をすると、解体工事を行った解体業者が廃棄物を出した、という解釈になるからなのですね。

元請け業者が排出事業者である、ということは、たとえば元請け業者(=解体業者)が産業廃棄物収集運搬業許可を持っていない場合は廃棄物処理専門業者に処理をまかせるわけですが、それでも責任の所在が解体業者であることは変わりない、ということです。

万が一廃棄物処理業者が不法行為を行ったとしても、責任を負うのは解体業者なのです。だから解体業者は、廃棄物処理業者が適切に処理を行うような措置をしなければならないのですね。

施主の心構え

解体工事の廃棄物処理に関して不法行為があったからといって、施主に責任はない…とはいえ、自分のまかせた解体業者が不法行為を行い、自分の家を解体して出た廃材が不法投棄されていたなどという事態は、施主としても気分が悪いものですよね。

のちほど詳しく述べますが、こういった事態を防ぐためにも、施主としては初めから信頼できる業者選びをすることが重要なのです。

マニフェスト制度

マニフェストとは「産業廃棄物管理票」のことで、産業廃棄物の処理が適切に行われたかどうかを管理する書類です。排出事業者は、このマニュフェストを作成する義務があります。

マニフェスト票の内訳

マニフェスト票は、7枚つづりになっていて、それぞれに役割があります。

・A票…排出事業者の控え

・B1票…処分業者への運搬終了後、収集運搬業者の控えとなる

・B2票…処分業者への運搬終了後、収集運搬業者より中間処理・最終処分業者へ運搬されたことを排出事業者が確認するためのもの

・C1票…処分終了後、中間処理・最終処分業者の控えとなる

・C2票…処分終了後、収集運搬業者が処分終了したことを確認するためのもの。

・D票…処分終了後、排出事業者が処分終了を確認するためのもの

・E票…排出事業者がすべての最終処分が終了したことを確認するためのもの

施主はE票の確認を

マニフェスト票は、7枚つづりのうちE票が「すべての廃棄物処分が適切に行われた」ことを確認できる書類となっています。したがってE票に問題がなければ、施主としても廃棄物処分が適切に完了したと判断して間違いないでしょう。

マニフェストを発行しなくてもよい場合

マニフェスト発行は排出事業者の義務ですが、実は例外的に発行しなくていいケースがあります。

・解体業者が、一貫して廃棄物の最終処分までを行う場合

・解体業者が、自社で廃棄物の保管場所を持っている場合

このようなケースでは、マニフェスト発行はいらないとされています。

悪徳業者を見抜くコツ

なぜ不法投棄などの違法行為を行うのかというと、中間処理や最終処分のコストを抑えることができるからです。

施主からは「適切に処理しました」と言って処分費用を請求し、その実きちんとした処理を行わなければ、その分の費用を浮かせて儲けにすることができるのですね。

そういった悪徳業者が、まだ存在しているのはたしかです。ではどうしたらそのような業者を避けることができるでしょうか。

相場より安すぎないかを確認する

明らかに周辺の解体工事費用相場と比べて激安をうたっているような業者は、不法投棄を疑われても仕方がないでしょう。

特に見積書の内容が不明確で、どこにどんな費用がかかるのかがよくわからない、なぜこんなに安いのかわからない、そして説明を求めても納得できる答えが得られない場合は、その業者は避けた方が賢明です。

解体工事に必要な許認可・届出があるか

解体工事を行うためには、建設業許可(500万円以上の工事も可能)または解体工事業登録(500万円未満工事ならば可能)のどちらかを保有していなければいけません。

また、工事前には建設リサイクル法の届出を、都道府県知事に出さなければいけないという決まりもあります。

こういった許認可をきちんと持っていて、出すべき届出は出しているかという点も、優良業者かどうかの見極めポイントとなります。

最終処分先について明確にしてくれるか・マニフェストE票のコピーをもらえるか

廃棄物の処分について話をしたときに、きちんと最終処分先の説明があるか、終了後にはマニフェストE票の提示をしてくれるか、といった確認もしておきましょう。

納得のいく対応をしてもらえれば、おそらく問題ないでしょう。

まとめ

解体工事における、廃棄物処理を取り巻く注意点について説明しました。何かあったときの責任は施主が負うものではないといっても、廃棄物の適切な処分経路など、施主が知っておくべき点はきちんと把握しておきたいものですね。

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