解体工事で発生するゴミ=産業廃棄物は、かなりの量になります。しかもさまざまな資材が入り混じり、処理の手間も相当であることは想像に難くないでしょう。
今回は、廃材ごとの処分費用目安を挙げたうえで、廃棄物処理費用をできるだけ安く抑える方法を紹介します。
ただし、安ければいいというわけでもない点に注意が必要なので、そこもポイントとして読み進めてくださいね。
解体工事で出る産業廃棄物の処分費用目安
木くず
1トン当たり4,000円~4万2,000円程度が目安。
木くずとは木材を使用している廃棄物全般を指し、大きめの木片や、家具を作る時に出るような木の端、庭に生えている木の枝もすべて、廃棄物としては「木くず」という分類になります。
コンクリートガラ
1トン当たり800円~3,800円程度が目安。
金額の幅は、コンクリートの厚みやコンクリートに混ざりものがあるか、というところでの差です。砂利や金属が混ざっていると、処分費用は高くなります。
コンクリートガラは、産業廃棄物の中でもリサイクル率の高いものなので、処分費用は比較的安めの傾向となっています。
アスファルト
1トン当たり800円~1,600円程度が目安。
アスファルトも、厚みで金額が変わる設定の場合があります。
廃プラスチック
1トン当たり6,000円~11万円程度が目安。
プラスチックはリサイクルできるものとできないものがあり、その可否で処分費用が変わることもあります。リサイクルできないものの方が、費用は高くなる傾向にあります。
ガラス
1トン当たり1,000円~4万3,000円程度が目安。
ガラスもプラスチック同様、リサイクル可能かどうかで処分費用に差が出ます。リサイクルできるもののほうが低コストなのですが、ガラスはリサイクルが難しく、多くはそのまま混合廃棄物として埋め立てられてしまいます。
金属くず
1トン当たり600円~8,000円程度が目安。
木くず同様、状態の良い金属くずもリサイクル率の高い品目です。ただし、混ざりものがあると混合廃棄物として分類され、金属くずとしては取引されず、埋め立てられてしまうことがほとんどです。
繊維くず
1トン当たり7,000円~11万円程度となります。
布やロープ、カーペットや畳も繊維くずに該当します。
廃棄物処理費用を安く抑える方法
不用品など一般廃棄物は自分で処分する
解体する建物の中は、工事の前にからっぽにしなければなりませんが、不用品をそのまま置いておくと残置物として解体業者が処分してくれます。
しかし、そうなると処分費用が高額になります。不用品は一般廃棄物であるため、解体工事後に大量に出る産業廃棄物とは、違う処分のしかたが必要になり、業者としても手間がかかるからです。
そこで、この不用品(一般廃棄物)については、施主がみずから処分するようにしましょう。家庭ゴミとして、燃やせるゴミや大型ゴミの分別をして出せば、費用をぐっと抑えることができます。
また、自分にとっては不要でもまだ使えるものはリサイクルショップに持ち込んでみましょう。費用を抑えるどころか、もしかしたらお金に換わる可能性も出てきます。
自社で処分場を持っている業者を選ぶ
解体工事業者が自社で産業廃棄物の処分場を持っていると、廃棄物の排出量に応じたそのままの処分費用が施主に請求されます。しかし処分場がない場合は、予想よりも多くの廃棄物が出てしまったときのために処分料の見積に余裕を持たせることになります。その分の請求もすべて施主にいってしまうのです。
処分場までの運搬費用を抑える
廃棄物の処理費用には、運搬費も含まれます。
運搬費を少しでも安く抑えようとするなら、まず地元に解体業者で現場や処理場から近いところに運搬車両を置いているような業者を選ぶこと。これで運搬のための燃料代が少しでも節約できます。
また、自社で運搬車両を所有している解体業者を選ぶことも大事です。自社所有でなければ、どこか別の業者から運搬車両を借りてこなくてはならず、そこにレンタル費用も発生するからです。
たかが燃料代やレンタル代、と馬鹿にすることはできません。解体工事で排出される廃棄物の量というのは、相当なものです。処理場まで何往復もしなければいけない、という事態になれば、燃料代もレンタル代も相応の金額になってきます。
安すぎる業者のリスクと注意点
解体工事費用を抑えたい、そのためには廃棄物処分費用も少しでも節約したい。
そのように思うのは消費者として当然かもしれませんが、金額の安さにばかり気を取られてはいけません。特に「安全・安心」を最優先事項に置く解体工事に関しては、費用の安さを最重要視してしまうと、あちこちにひずみが出てしまうのです。
安すぎるのはなぜ怖い?
明らかに周辺の相場よりも格安・激安の見積金額を提示してくる解体業者というのは、いるものです。
一体どこでそんなに安くできるのか。実はまともな方法ではそんな金額設定は無理なはずなのです。
激安でも、どこかで利益は出しているはずです。それはたとえば廃棄物の不法投棄によって処理費用を浮かせていたり、ずさんな安全管理で人件費を浮かせていたり、という良くない方向でごまかしているだけなのです。
安すぎる業者にはここに気をつけよう
高額な追加請求があるかも
とにかく安い金額を提示して契約さえ交わしてしまえばいい、と考える業者は、最初に
見積で出してくる金額はたしかに周辺相場と比べて安くても、あとから高額な追加請求をしてくることが多くあります。
解体工事で重要な「安心・安全」を守るためには、これ以上の値下げには応じられないという最低限の金額ラインがあるはずですが、それも超えて値下げ交渉に応じる・安い金額を提示してくるような業者は、あとから追加請求で帳尻を合わせようとするところも少なくないのです。
こういった業者を見抜くために、見積の段階で見積書はしっかり作ってもらうようにしましょう。不明な点があればすぐに説明を求め、安すぎる場合はその理由も問いただしてみることも大事です。納得のいく説明が得られない場合は、その業者は避けた方が賢明でしょう。
無許可・無保険で営業している場合がある
解体工事を行うために必要な許可や認可、また工事を始める前にするべき届出、万が一のことがあったときのために入っておくべき損害賠償保険など、解体業者にはしておかなければいけないことがたくさんあります。
契約前に、こういった点についてはきちんと確認しておきましょう。本来業者として行っておくべきことをやらずに経費を浮かせているようなところには、依頼したくないですよね。
許可証などはあらかじめ提示を求めれば、きちんとした優良業者であれば快く見せてくれます。契約前に確認しておくようにしましょう。
まとめ
・解体工事の産業廃棄物は、重さ(1トンあたりなど)によって処分費用が決まることが多い
・リサイクル可能か不可能かで、廃棄物処分の費用が上下することがある
・廃棄物処分費用を安く抑える方法には、一般廃棄物(不用品)を自分で処分したり、廃棄物の運搬費用に着目したりする方法もある
・しかし廃棄物処理費用は安ければいいというわけではない。あまりにも激安な業者は、悪徳業者であることも疑った方がいい。解体工事でもっとも重要なことは「安心・安全」であり、それを軽視するような極端な値段設定の業者は、避けた方がいいといえる
解体工事において、廃棄物処理は非常に重要な要素です。業者見極めのポイントにもなるので、解体工事をご検討の際にはぜひ記事の内容をご参照くださいね。